
経理の残業って、実際どれくらいなんだろう
そう思って検索した人が、多いはずです。
でも、その問いに一つの数字で答えることは、実はできません。
なぜなら、経理の残業は月によって、大きく変わるからです。
「月平均20時間」と言われても、それが毎月コンスタントに20時間なのか、普通の月は10時間で決算月は50時間なのか。生活はまったく変わりますよね。
だから、あなたが知るべきなのは「平均で何時間か」ではありません。
「忙しい月は何時間で、そうでない月は何時間か」です。
本記事では、現役経理部員の私が、
- 統計で見る経理の残業(同じ経理でも、実は2つの数字があります)
- 「平均◯時間」という数字が、なぜ当てにならないのか
- 自分の職場は多すぎるのか、その判定基準
- 求人票の「月平均◯時間」の読み方
を解説します。
私自身の実態(普通の月と決算期、それぞれ何時間だったか)も、正直にお伝えしますね。
統計で見る、経理の残業時間

まず、統計の数字からお伝えします。
転職サービスdodaが2025年に15,000人を対象に行った調査では、全体の平均残業時間は月20.6時間でした。1か月の実働を20日とすると、1日あたり1時間ほどの計算になります。
では、経理はどうか。
ここで、面白い事実が出てきます。
同じ「経理」でも、2つの数字がある
この調査には、経理に関わる職種が2つ登場します。
- 経理事務/財務事務(事務/アシスタント分類) → 月12.4時間
- 経理/財務/税務/会計(企画/管理分類) → 月24.2時間
同じ経理なのに、倍近く違うんです。
しかも、前者の「経理事務/財務事務」は、全87職種の中で残業の少ない職種ランキング6位に入っています。全体平均(20.6時間)より、8時間以上少ない。
一方、後者の「経理/財務/税務/会計」は、全体平均を上回っています。

同じ経理でも、12.4時間と24.2時間。どちらも本当の数字です!
なぜ、こんなに違うのか
理由は、担当する仕事の中身が違うからです。
- 経理事務/財務事務 → 伝票入力、請求書の処理、経費精算など、日々の作業が中心
- 経理/財務/税務/会計 → 決算、税務申告、資金繰りなど、責任の重い仕事まで担当する
同じ「経理」と呼ばれていても、やっている仕事が違うんです。当然、残業時間も変わります。
つまり、こういうことです。
「経理の残業は何時間ですか」という問いに、一つの数字では答えられません。
あなたが、どちらの経理をやるのか。それによって変わるからです。
未経験から入る場合、最初は前者(経理事務)からスタートすることが多いです。そして経験を積むと、決算や税務を任されるようになり、後者に近づいていきます。
残業時間も、それに合わせて増えていく可能性がある、ということです。
「平均20時間」が、あなたの実感と合わない理由

ここからが本題です。
統計上、経理の残業は多くない。でも、経理で働く人は「忙しい」と言う。
なぜでしょうか。
答えは、平均が、忙しい月とそうでない月を混ぜて割った数字だからです。
経理が忙しくなる時期は、決まっています
経理の忙しさは、毎月同じではありません。忙しくなる時期が、決まっています。
- 毎月のこと → 月初は忙しい(前の月の数字を締めるため)
- 一年のこと → 決算期は、とくに忙しい
つまり、こういうことです。
平均が月20時間の職場でも、中身は「普通の月10時間、決算月40時間」かもしれない。
忙しい月と、そうでない月を混ぜて計算すれば、平均は20時間になります。数字の上では、同じ「月20時間」です。
でも、実際の生活はまったく違いますよね。
あなたが本当に知りたいのは、平均ではなく、月ごとの差です。
- 一番忙しい月は、何時間になるのか
- その月は、年に何回来るのか
- 普通の月は、何時に帰れるのか
この3つが分かって、初めて生活が設計できます。
なお、経理がいつ忙しくて、いつ落ち着くのか。その時期については、こちらの記事で解説しています。
私の実態|普通の月と決算期、実際は何時間か

では、実際のところどうなのか。
私自身の数字を、正直にお伝えしますね。
普通の月は、月10時間ほど
普通の月の残業は、だいたい月10時間です。
1日あたり30分程度の計算になります。定時で帰れる日も、普通にあります。
「経理=定時で帰れる」というイメージは、普通の月に限って言えば、そこまで間違っていません。
決算期は、45時間を超えないくらい
一方、決算期は増えます。
私の場合、月45時間を超えないくらいまで行きます。
普通の月の4倍以上ですね。この時期は、さすがに定時では帰れません。
でも、この「45時間を超えないくらい」という数字には、意味があります。
後で説明しますが、月45時間というのは、法律で定められた時間外労働の原則的な上限です。つまり、私の職場はその線を意識して管理している、ということでもあります。

普通の月は10時間、決算期は45時間手前。これが私の実際です!
平均するとどうなるか
ちなみに、この2つを年間で平均すると、どうなるか。
決算期が年に数か月あるとして、ざっくり計算すれば、月平均は20時間前後に落ち着きます。
つまり、統計の平均値(月20.6時間)とほぼ同じなんです。
でも、私の実感は「普通の月は楽、決算期はきつい」です。
つまり、平均という数字だけを見ても、実際の働き方は分からないということです。
あなたの職場は、多すぎるのか

ここからは、「うちは異常なのか?」を判定したい人へ。
判定の基準を、2つお伝えします。
基準①:月45時間を超え続けていないか
法律の話をします。
時間外労働の上限は、原則として月45時間・年360時間と定められています。
これを超えて働かせるには、労使協定(36協定)が必要で、それでも無制限ではありません。
つまり、こう判定できます。
- 決算期だけ45時間に近づく → 忙しい時期があるだけ。正常の範囲です
- 毎月45時間を超えている → 一時的に忙しいのではなく、常にその状態ということです
毎月45時間を超え続けているなら、それは「経理だから忙しい」のではありません。その職場の人員や体制に、問題があるということです。
基準②:残業を増やす3つの要因
同じ経理でも、職場によって残業はまったく違います。
分かれ目は、この3つです。
- 人員体制 → 一人経理か、分業できているか
- システム化 → クラウド会計が入っているか、手作業とExcelか
- 業務範囲 → 経理専任か、総務や人事も兼務しているか
特に、中小企業の「一人経理」は要注意です。担当者一人にすべてが乗るので、残業が読めません。
逆に、人員が揃っていてシステムも整っていれば、決算期でも大崩れしません。
残業時間を決めているのは、「経理という職種」ではなく「その職場の体制」です。
求人票の「月平均20時間」は、どう読むか

ここが、この記事で一番お伝えしたいことです。
転職活動中の方は、求人票でこんな記載を見たことがあるはずです。
「残業:月平均20時間程度」
この数字、そのまま信じていいのでしょうか。
求人票の「平均」には、決算期も含まれています
答えは、そのままでは信じられないです。
嘘だと言っているのではありません。ただ、この「平均」は1年を通じて平均した数字なので、月ごとの差が見えなくなっているんです。
思い出してください。私の場合は「普通の月10時間、決算期45時間手前」です。これを平均すれば、月20時間前後になります。
つまり、求人票に「月平均20時間」と書いてある職場でも、決算月は40時間を超えている可能性が十分にあるということです。
平均値だけを見て「定時で帰れそう」と判断すると、入社後に痛い目を見ます。
私が面接で聞いたこと
では、どうすればいいか。
私は、面接で平時と決算月を分けて確認しました。
- 「普通の月の残業は、どのくらいですか」
- 「決算月の残業は、どのくらいになりますか」
この2つを、分けて聞いたんです。
結果として、入社後に残業のギャップはありませんでした。聞いていたとおりだったからです。
これは、運ではありません。分けて聞いたから、実態が見えたというだけのことです。

平均を聞くと、平均が返ってきます。分けて聞けば、実態が見えますよ
面接で聞くべき3つの質問
私の経験から、面接ではこの3つを聞くことをおすすめします。
- 「普通の月と、決算月の残業は、それぞれどのくらいですか」 → 平均ではなく、月ごとの実際の差が分かります
- 「経理部は何名で、業務分担はどうなっていますか」 → 人員体制が分かります
- 「会計システムは、何を使っていますか」 → システム化の度合いが分かります
残業について聞くと、印象が悪くなるのでは。そう心配する人もいますよね。
でも、聞き方次第です。「働き方をイメージしたいので」と前置きすれば、失礼にはなりません。
むしろ、入社後にギャップで辞められるほうが、会社にとっても損失です。
残業の少ない経理職場は、どう見分けるか

最後に、生活と両立させたい人へ。
お迎えの時間や、家庭の事情がある方は、「一番忙しい月に、何時に帰れるのか」が死活問題ですよね。
見分けるポイントは、こうです。
求人票で見るところ
- 残業時間の記載があるか → 記載がない求人は、そもそも警戒したほうがいいです
- 経理部の人数 → 分業できる人数がいるか
- 会計システム → 社名が書かれていれば、システム化されている目安になります
それでも分からないことは、聞くしかない
ただ、正直に言うと、求人票から読み取れることには限界があります。
決算月の実態や、部署の雰囲気までは、書いてありません。
こういう内部の情報は、転職エージェント経由のほうが早く分かります。求人票に載らない情報を持っていることが多いからです。
「決算期の残業は実際どのくらいですか」と、エージェントに確認してもらう。この一手間が、入社後のギャップを防ぎます。
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まとめ|平均ではなく、月ごとの差を見る

最後に、要点をまとめますね。
統計で見る経理の残業。
- doda調べ(2025年)の全体平均は、月20.6時間
- 経理事務/財務事務は月12.4時間で、残業の少ない職種6位
- 一方、経理/財務/税務/会計は月24.2時間。同じ経理でも倍近く違う
- どちらの経理を担当するかで、残業時間は変わる
でも、平均だけでは実際の働き方は分かりません。
- 経理は、月初と決算期に忙しくなる
- 私の実態は、普通の月10時間、決算期は45時間を超えないくらい
- 平均すれば20時間前後。でも、実際の生活はまったく違う
自分の職場の判定基準。
- 毎月45時間を超え続けているなら、職場の体制に問題がある
- 残業を決めるのは、職種ではなく「人員体制・システム化・業務範囲」
そして、求人票の読み方。
- 「月平均20時間」には、決算期も含まれている
- 面接では、平時と決算月を分けて聞く
- 私はそうしたので、入社後のギャップがありませんでした
経理の残業は、一つの数字では語れません。
大事なのは、平均ではなく、月ごとの差を知ることです。
「忙しい月は何時間で、そうでない月は何時間か」。これが分かれば、自分の生活を設計できますよ。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
※本記事の残業データは、以下の調査をもとにしています。
- 出典:平均残業時間の実態調査(年代別・男女別・職種別) 残業が少ない・多い仕事は?
- 提供元:転職サービス「doda」
- 調査概要:20〜59歳の正社員15,000人を対象としたインターネット調査(2025年8月実施)。残業時間は2025年4〜6月の1か月あたりの平均。
- 時間外労働の上限規制(原則 月45時間・年360時間)は、労働基準法の定めによります。



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