
経理のキャリアプランって、どう考えればいいんだろう
面接で聞かれた。目標設定シートに書かされる。上司に「キャリアプランは?」と言われて、言葉に詰まった。
そんなきっかけで、この記事にたどり着いたのではないでしょうか。
先に、安心してほしいことをお伝えします。
キャリアプランが描けないのは、あなたの意識が低いからでは、決してありません。経理の「階段の地図」を、まだ見たことがないだけなんです。
地図さえ手に入れば、大丈夫。面接でも、目標設定シートでも、自分の言葉で、ちゃんと語れるようになります。
私は元国家公務員から、未経験で経理に転職した現役の経理部員です。この記事では、私がこれまで働きながら見えてきた「経理のキャリアの地図」を、1枚お見せします。そして、その地図をあなたの状況に合わせてどう使えばいいかまで、正直にお伝えしますね。
まず1枚の地図|経理のキャリアの「階段」

経理のキャリアには、実ははっきりした「階段」があります。
まずはこの地図を、頭に入れてみてください。これさえ分かれば、キャリアプランの悩みは、ほとんど解けてしまうんです。
一つだけ先にお伝えしておくと、各段に添えた年数は、あくまで目安です。会社の規模や体制によって、大きく変わります。中小企業や少人数の経理なら、もっと早く上の段に触れることもあるので、数字はあまり気にしすぎないでくださいね。
一段目|日常業務(目安1〜3年目)
まずは、日々の基本業務からのスタートです。
- 仕訳
- 伝票入力
- 請求書の発行・処理
- 経費精算
この段階でやることは、一見すると地味に見えるかもしれません。でも、ここで経理の基本的な流れと仕組みを体に染み込ませることが、あとあと全部の土台になるんです。焦らず、まずはここを大事にしてほしいなと思います。
二段目|月次決算を締める(目安3〜5年目)
次の段が、月次決算です。毎月の会社の数字を、締められるようになる段階ですね。
- 試算表の作成
- B/S・P/Lの作成
- 減価償却などの処理
「毎月の決算を、自分ひとりで回せる」。ここまで来ると、経理として一人前と見てもらえます。そして、市場での価値も、このあたりからグッと上がっていくんです。
三段目|年次決算・税務・開示(目安5年目〜)
さらに上の段が、年次決算とその周辺の仕事です。
- 年次決算のとりまとめ
- 税務申告
- 上場企業なら、開示業務や連結決算
このあたりを任されるようになると、「この人がいないと困る」という、代わりのいない人材になっていきます。当然、年収も一段と上がっていきますよ。
分岐点|あなたはどっちに進む?
三段目まで来ると、道が2つに分かれます。
- マネジメント路線(管理職→経理部長→CFO)
- 専門職路線(税務・開示のスペシャリスト、士業として独立)
それぞれ、もう少し説明させてください。
マネジメント路線は、経理部門をまとめる側に回っていく道です。
- 課長、部長へと昇進
- 経営陣への報告や提案
- 最終的には、CFO(最高財務責任者)も
会社全体のお金を見る、経営に近いポジションですね。
一方の専門職路線は、特定の分野をとことん極めていく道です。
- 税務のスペシャリスト
- 連結・開示のプロ
- 税理士や公認会計士として独立
「この分野なら、あの人に聞こう」と指名される存在になれます。
どちらが上、ということはありません。人をまとめるのが好きか、一人で深く極めるのが好きか。あなたに合うほうを選べば、それでいいんです。
【使い方①】面接で「キャリアプランは?」と聞かれたら
ここからは、この地図の使い方をお伝えしていきます。
まずは、未経験で経理の面接を受ける人へ。
「5年後、どうなっていたいですか?」。この質問、経理の面接では、かなりの確率で聞かれます。でも、未経験だと、経理の5年後なんて想像もつかないですよね。私もそうだったので、その戸惑いはよく分かります。
でも、安心してください。さっきの地図さえあれば、ちゃんと答えられます。
私が実際に面接で答えたこと
参考までに、私が未経験で面接を受けたとき、実際にこんなふうに答えました。
「まずは日次の業務で基礎を固めて、月次、四半期、年次と、段階的にステップアップしていきたいです。そして、ゆくゆくは経理のスペシャリストを目指したいと思っています」
特別なことは、何も言っていません。ポイントは、さっきの階段を、下から順になぞっているだけ、ということなんです。
- まず日次で基礎を固める
- 次に月次・四半期・年次へ
- ゆくゆくはスペシャリストへ
これだけで、「この人は経理の仕事をちゃんと分かっているな」「地に足がついているな」と、伝わります。背伸びした立派なプランより、この素直な階段のほうが、ずっと好印象なんです。暗記した模範解答は案外すぐ見抜かれますが、地図に沿って自分の言葉で話せば、それで十分伝わりますよ。
まだ書類選考の段階、という人は、まず職務経歴書からですね。書き方はこちらで詳しく解説しているので、あわせて読んでみてください。
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【使い方②】目標設定シートが埋まらないとき
次は、すでに経理で働いていて、人事考課の「キャリアプラン」欄が、どうしても埋まらない人へ。
毎日の仕事で精一杯で、キャリアプランなんてゆっくり考える余裕なんてない。その気持ち、痛いほど分かります。
でも、ここで身構えなくて、本当に大丈夫なんです。
大層な5年計画なんて、要りません
立派なキャリアプランを、無理にひねり出す必要はありません。必要なのは、たった一つだけ。「次の一段」を決めることです。
たとえば、こんな感じで考えてみてください。
- 今、日次業務が中心の人 → 「月次決算の補助に入れるようになる」
- 月次はできる人 → 「年次決算の一部を任せてもらう」
- 一通りできる人 → 「後輩に指導できるようになる」
階段は、一段ずつしか上れません。だからこそ、5年後の壮大な計画を無理に描くより、目の前の「次の一段」を書けばいい。そのほうが、よっぽど現実的で、上司にも伝わるんです。シートには「次の決算で、月次を一人で締められるようになりたい」くらいで十分。むしろ具体的なほど、評価は上がりますよ。
【使い方③】経験を積んで、次の分岐で迷ったら
月次も年次も回せるようになって、「さて、次はどうしよう」で立ち止まっている人へ。
- 管理職を目指すべき?
- それとも、税務や開示のスペシャリスト?
- 簿記1級やUSCPAを取ったほうがいい?
選択肢が多いと、かえって動けなくなってしまうんですよね。これも、よくあることです。
迷ったときの、3つの判断軸
そんなときは、こう考えると、頭の中が整理しやすくなります。
- 人をまとめるのが好きか、一人で極めるのが好きか(管理職 or 専門職)
- その資格は、自分の目指す道に本当に必要か
- 今の会社で、そもそもその段を上れるか
特に、3つ目が大事です。というのも、今の会社に、あなたが上りたい段そのものが存在しない、ということがあるからなんです。
たとえば、中小企業だと、連結決算や開示業務がそもそもない、というケース。その場合は、その経験ができる会社へ移る、という選択肢が見えてきます。
資格は「目指す道に必要なものだけ」
資格についても、少し触れておきますね。
経理でキャリアアップに直結する資格は、実はそんなに多くありません。
- 簿記2級 → 経理の基礎の証明(まずはここから)
- 簿記1級 → 上位経理への王道
- USCPA(米国公認会計士) → 外資やグローバル志向なら
- 税理士・公認会計士 → 専門職や独立を目指すなら
大事なのは、自分の目指す道に必要な資格だけを選ぶことです。「経理に関係するから」と、なんでもかんでも取ろうとする資格コレクターは、正直、遠回りになってしまいます。進む道を決めてから、それに必要な資格を選ぶ。この順番が、一番効率がいいんです。
キャリアプランを考えることは、実は転職を考える一歩手前でもあります。今の会社で上れないなら、上れる会社へ。それも、立派なキャリアプランです。自分の経験で、今どの段の求人に手が届くのか。経理特化のエージェントに聞いてみるだけでも、分岐の解像度がぐっと上がりますよ。
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【使い方④】ライフイベントを挟むキャリア設計
結婚、出産、育児。こうしたライフイベントを控えている人の、キャリア設計についてもお話しさせてください。
「産休や育休を挟んだら、キャリアはどうなっちゃうんだろう」。そんな不安、ありますよね。でも、経理はこの点で、かなり心強い職種なんです。
経理のスキルは、消えません
経理の一番の強みは、身につけたスキルを持ち運べることです。
一度覚えた簿記の知識や、決算の経験は、多少ブランクがあっても消えてなくなったりしません。だから、復帰したあとも、キャリアを再開しやすいんです。これは、働くお母さん・お父さんにとって、本当に大きな安心材料だと思います。
大事なのは「中断前に、どの段まで上るか」
一つだけ、頭に置いておいてほしいことがあります。それは、中断する前に、できるだけ上の段まで上っておくと、あとがぐっと楽になる、ということです。
特に、「年次決算の経験があるかどうか」は、復帰後の選択肢を大きく左右します。
- 日常業務までしか経験がない → 復帰後の選択肢が、少し限られがち
- 年次決算まで経験済み → 「決算ができる人」として、時短勤務でも重宝される
つまり、ライフイベントを迎える前の今が、実は階段を上っておく大事な時期かもしれない、ということなんです。経理は、忙しい時期があらかじめ読める職種でもあるので、家族と協力する段取りも立てやすい。育児との両立がしやすい仕事だと、私は思っています。
正直に言うと、私もまだ地図の途中にいます
ここまで偉そうに地図を描いてきましたが、正直に打ち明けますね。
私自身、この地図の、まだ途中にいます。
今の私は、月次決算、半期決算、年次決算を、少しずつ任せてもらえるようになった段階です。地図でいうと、二段目から三段目に、そっと足をかけているところ、という感じでしょうか。
正直に言うと、私が目安の年数より少し早く年次決算に触れられたのは、環境に恵まれた面も大きいです。任せてもらえる職場だったから、早めに上の段を経験させてもらえた。つまり、階段を上るスピードって、本人の努力だけじゃなく、どんな職場にいるかにも、けっこう左右されるんですよね。
だからもし、今の職場でなかなか上の段に手が届かないとしても、それはあなたの能力のせいだと決めつけないでください。もしかしたら、環境の問題かもしれない。そのことは、頭の片隅に置いておいてほしいなと思います。
税務や開示、連結決算、そして管理職。この地図の上のほうは、実は私もまだ登りきっていません。だから、そこから先については、尊敬する先輩たちの背中と、信頼できる情報をもとに描いた地図です。そこは正直にお伝えしておきますね。
でも、だからこそ、自信を持って言えることもあります。未経験から始めた私でも、数年で、月次も年次も任せてもらえる段階まで来られました。階段は、ちゃんと上れるんです。一段ずつ、確実に。

目の前の一段だけ考えていたら、ここまで来ました!
まとめ|階段は一段ずつ。次の一段だけ決めればいい
最後に、この記事の要点をまとめますね。
経理には、はっきりした「階段の地図」があります。
- 一段目:日常業務(仕訳・伝票・経費)
- 二段目:月次決算を締める
- 三段目:年次決算・税務・開示
- 分岐:管理職コース or 専門職コース
この地図さえ持っていれば、キャリアプランは、もう怖くありません。
- 面接では、階段を下から順に語ればいい
- 目標設定シートは、「次の一段」を書けばいい
- 分岐で迷ったら、3つの軸で考える
- ライフイベントの前は、できるだけ上の段まで上っておく
大層な5年計画なんて、要らないんです。階段は一段ずつしか上れないのだから、次の一段だけ決めればいい。それだけで、あなたのキャリアは、ちゃんと前に進んでいきます。

まずは、自分が今どの段にいるかを確かめることから!
なお、経理の年収も、この「階段のどこにいるか」で大きく変わってきます。年収の面から階段を眺めてみたい人は、こちらの記事もあわせてどうぞ。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。あなたのキャリアが、良い方向へ進んでいくことを、心から願っています。




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