
公務員を辞めたい。
でも、辞めて何をすればいいのか分からない…
20代でそう悩んでいるなら、この記事はあなたのために書きました。
私は元国家公務員です。窓口対応が中心の部署にいましたが、20代のうちに思い切って辞めて、今は大手メーカーの経理として働いています。
辞める前は、あなたと同じように、毎日モヤモヤしていました。「このまま公務員を続けていいのか」「でも安定を捨てるのは怖い」「そもそも自分に何ができるんだ」。答えの出ない問いを、通勤電車の中でずっと考えていました。
この記事では、そんな私が最終的にたどり着いた「経理」という選択肢について、本音でお話しします。
世の中には「公務員を辞めたい20代」に向けた記事がたくさんあります。でも、その多くは「まず気持ちを整理しよう」「辞めるべきか考えよう」で終わってしまう。具体的に「じゃあ何になればいいのか」までは、なかなか教えてくれません。
だから私は、自分の実体験をもとに、はっきりお伝えします。20代で公務員を辞めるなら、経理は本当に良い選択肢です。その理由を、包み隠さず語ります。
20代で「公務員を辞めたい」と思うのは、おかしくない

まず、一番伝えたいことから。
「せっかく公務員になったのに、辞めたいなんて、自分はおかしいんじゃないか」
もし、そう思っているなら、安心してください。まったくおかしくありません。
データが示す、若手公務員の現実
実際、20代で公務員を辞める人は、年々増えています。
総務省の「地方公務員の退職状況等調査」によると、一般行政職で自己都合により退職した30歳未満の職員は、2013年度の1,564人から、2022年度には4,244人へと、約2.7倍に増えています。
普通退職者全体に占める割合を見ても、30歳未満で約37%。30代を含めれば、7割以上が30代以下です。
つまり、あなたと同じように悩み、実際に一歩を踏み出している20代は、たくさんいるということです。
かつては「公務員は定年まで勤め上げるもの」というのが常識でした。でも今は、その常識が大きく変わりつつあります。
だから、「辞めたい」というあなたの気持ちは、決して甘えでも、わがままでもありません。むしろ、自分の人生を真剣に考えているからこそ湧いてくる、自然な感情です。
私が20代で「辞めたい」と思った理由
少しだけ、私自身の話をさせてください。あなたの悩みと、重なる部分があるかもしれません。
私が公務員を続けることに疑問を持ち始めたのは、将来の自分の姿が、はっきり見えすぎてしまったからでした。
公務員は、キャリアの見通しが立ちやすい仕事です。何歳くらいでどのポジションになって、どのくらいの給料をもらうか。職場の先輩を見ていれば、10年後、20年後の自分が、だいたい想像できてしまう。
そして、その先輩を見て「自分は、この人のようになりたいだろうか」と考えたとき、私の答えは、正直「ノー」でした。
もう一つ大きかったのが、民間で働く友人たちが、なぜかキラキラして見えたことです。
彼らは、自分のスキルで成果を出して、それが評価されて、自分の力でキャリアを切り開いているように見えました。それに比べて自分は、決められた枠の中で、決められた仕事を淡々とこなしているだけ。この差に、じわじわと焦りを感じるようになったんです。
そして、公務員は数年ごとに、自分の意思とは関係なく、まったく違う部署に飛ばされます。せっかく積み上げた知識や経験が、異動でリセットされてしまう。この環境に、自分のキャリアを預け続けていいのか、という疑問が消えませんでした。
決定的だったのは、「キャリアを変えるなら、若いうちのほうがいい」という思いです。
20代という時間は、二度と戻ってきません。年齢を重ねるほど、方向転換は難しくなる。この一心が、最終的に私を動かしました。
なぜ「経理」なのか?私が経理を選んだ4つの理由

さて、ここからが本題です。
公務員を辞めると決めたとき、世の中にはいろんな選択肢がありました。営業、IT、Webマーケティング、コンサルタント。その中で、なぜ私は「経理」を選んだのか。
理由は、大きく4つあります。
手に職がついて、一生食べていけるから
一番大きかったのが、これです。
経理は、専門スキルが身につく仕事です。会社の数字を扱う知識と経験は、どこの会社に行っても必要とされる。しかも経理は、どんな企業にも必ず存在する部署です。会社がある限り、経理の仕事がなくなることはありません。
公務員を辞めることへの一番の不安は、「食べていけるのか」ということだと思います。だからこそ私は、食いっぱぐれない専門性が身につく経理を選びました。
経理は「景気に強い」仕事でもあります。
会社が儲かっていても、赤字でも、お金の管理をする経理は必ず必要です。営業のように、景気が悪くなると真っ先に数字を求められる職種とは違います。実際、経理は人手不足と言われる職種の一つで、経験を積むほど引く手あまたになります。
さらに、経理のスキルは会社を移っても通用します。簿記のルールも、決算の流れも、基本はどの会社でも共通だからです。
そして、その先のキャリアも広い。
経理は、入り口であってゴールではありません。会社の数字を理解した先には、財務、経営企画、さらには経理部長やCFOといった、経営の中枢を担う道も開けています。
公務員のように「異動でキャリアがリセットされる」のではなく、一つの専門性を軸に、着実に積み上げていける。この安心感は、何物にも代えがたいものです。
公務員の事務作業と、地続きだから
これは、公務員出身者にとって、とても大きなポイントです。
「未経験の仕事に飛び込むのは怖い」と感じるかもしれません。でも経理は、公務員時代の仕事と、意外なほど地続きなんです。
数字を正確に扱う。書類をミスなく処理する。ルールに沿って業務を進める。これらは、公務員が日常的にやってきたことそのものです。
具体的には、こう活きます。
- 予算や公金を扱った経験 → 経理の「数字への責任感」
- 法令や規則に沿って業務を進めた経験 → 会計基準を守る「順法意識」
- 住民や関係機関とのやり取り → 社内の各部署と調整する「折衝力」
私も、窓口で申請書類を正確にチェックしていた経験が、経理の正確性にそのまま活きました。
まったくの異業種に飛び込むより、これまでの経験が活かせる分野を選ぶ。これは、公務員からの転職では、とても賢い選び方だと思います。
簿記という「明確な入場券」があるから
未経験の転職で怖いのは、「自分に何ができるのか分からない」「どうアピールすればいいのか分からない」ということです。
でも経理には、簿記という、はっきりした入場券があります。
日商簿記2級を取れば、「経理の基礎知識があります」と客観的に証明できる。未経験でも、この資格があるだけで、応募できる求人がぐっと増えます。
営業やコンサルのように、「センスや実績が問われて、何を準備すればいいか分からない」という不安がない。努力が明確に報われるルートが用意されている。
これは、未経験から挑戦する20代にとって、大きな安心材料でした。
腰を据えてスキルを積める、性格に合う仕事だから
最後は、自分の性格との相性です。
正直に言うと、私は営業のような、体育会系のノリで数字を追いかける働き方が、あまり得意ではありませんでした。毎日ノルマに追われて、気合いで乗り切る。そういう働き方が合う人もいますが、私は違いました。
経理は、コツコツと正確に、腰を据えてスキルを積み上げていく仕事です。派手さはないけれど、じっくり専門性を深めていける。
自分の性格に合う仕事を選ぶこと。長く続けるうえで、これは意外と大事なことだと思います。
「経理は逃げ」なんかじゃありません
ここで、一つ誤解を解いておきます。
公務員からの転職について調べていると、「経験がそれしかないから、消去法で経理を選ぶのは良くない」といった論調を見かけます。「経理は逃げ」のように語られることもある。
でも、私はまったくそう思いません。むしろ逆です。
手に職がつき、公務員経験が活き、明確な入場券があり、腰を据えて成長できる。これだけの条件が揃った選択肢は、そう多くありません。
「何となく楽そうだから」で選ぶなら、それは消極的かもしれません。でも、「一生モノのスキルを身につけて、自分の市場価値を上げる」という目的を持って選ぶなら、それは立派な攻めの選択です。
経理に転職して、私が「辞めてよかった」と感じたこと

では、実際に経理に転職してみて、どうだったのか。正直にお伝えします。
自分が成長している実感がある。
未経験で何も分からない状態から始めて、月次決算や四半期決算を何度も経験するうちに、少しずつスキルが身についていくのを感じました。「あ、自分、できることが増えている」という手応え。これが、たまらなく嬉しかった。
公務員時代は、正直、この感覚が薄かったんです。真面目に働いてはいたけれど、自分が社会でどれだけ通用する力を持っているのか、見えにくかった。
誠実に働く人たちに囲まれている。
これは私の職場が特別だったのかもしれませんが、転職先には、やる気のない同僚がいませんでした。みんなが誠実に、真剣に仕事に向き合っている。そういう環境に身を置くと、自分も自然と背筋が伸びます。
しかも、努力や成果がきちんと評価される。公務員時代は年功序列で、頑張っても給料に反映されにくかった。今は、自分の頑張りを見てもらえます。
異動に、人生を振り回されない。
これも、外に出て初めて分かったありがたみです。
私は今でも公務員時代の同僚と付き合いがありますが、彼らから「希望していない部署に飛ばされた」という話を聞くたびに、しみじみ「転職してよかった」と思います。
今は、経理という専門分野で、自分の意思でキャリアを積み上げていける。この自己決定権の大きさは、本当に大きいです。
公務員を辞めて失ったもの

良いことばかり書くのは、誠実ではありません。今まさに迷っているあなたが一番知りたいのは、「本当に後悔しないのか」という点のはずです。
だから、私が失ったものも、正直にお伝えします。
- 景気に左右されない給料の安定 → 民間では、会社の業績次第で賞与が変わることもある
- 「もったいない」という周囲の声 → 「せっかく合格したのに」と言われ、決断が鈍る
- 社会的信用 → 住宅ローンやカードの審査で、勤続年数が短いうちは不利になることも
これらは、辞める前に、きちんと知っておいてほしいことです。
ただし、一つ補足させてください。「民間は不安定」というイメージは、会社によって大きく違います。私が大手メーカーを選んだのも、「安定と成長のバランス」を意識してのことでした。転職先の選び方次第で、失う安定を最小限に抑えることはできます。
それでも「辞めてよかった」と言い切れる理由
失ったものを正直に書きました。では、それでもなぜ、私は「辞めてよかった」と言い切れるのか。
答えは、シンプルです。
公務員の安定は失いましたが、その代わりに、経理というスキルによる、別の安定を手に入れたからです。
たしかに、景気に左右されない給料の安定は手放しました。でも、経理という専門スキルを身につけたことで、「自分の力でどこでも通用する」という、新しい安定を得ました。
組織にぶら下がる安定から、自分自身のスキルで立つ安定へ。
安定がなくなったのではなく、安定の種類が変わったんです。これこそが、経理という手に職を選んだ、一番の価値だと思っています。
その「辞めたい」、本当に転職で解決する?

ここまで経理を勧めてきましたが、公平のために、大事なことをお伝えします。
すべての人にとって、公務員を辞めることが正解とは限りません。
だからこそ、動き出す前に、「自分の辞めたい理由が、本当に転職で解決するものなのか」を一度考えてみてください。
コツは、辞めたい理由を2つに分けてみることです。
- 環境の問題 → 「上司が嫌」「配属先が合わない」「今の人間関係がキツい」
- 構造の問題 → 「成長実感がない」「年功序列が合わない」「スキルが身につかない」
環境の問題は、実は異動で解決する可能性があります。数年待てば、環境が変わって悩みが消えることもある。
一方、構造の問題は、部署が変わっても解決しません。公務員という仕組みそのものに根ざした悩みだからです。
私の場合は、両方ありましたが、根っこは構造の問題でした。どの部署に行っても「専門スキルが身につかない」「頑張りが評価に結びつかない」は変わらない。そう分かっていたから、転職を選びました。
もしあなたの悩みが環境の問題だけなら、異動を待つのも一つの手です。でも構造の問題なら、転職でしか解決しません。
ここを見極めることが、後悔しない選択の第一歩です。
20代の今、辞めたいと思ったらやるべきこと

「辞めたい気持ちは分かった。経理も良さそうだ。でも、具体的に何から始めればいいの?」
そう思ったあなたに、後悔しないためのステップをお伝えします。
まず、簿記2級を目指す
経理を目指すなら、まず簿記2級です。これが経理への入場券になります。
未経験の場合、多くの求人で「簿記2級以上」が条件になっているので、ここが最初の関門です。逆に言えば、簿記2級さえあれば、未経験でもスタートラインに立てます。
働きながらでも、通勤時間や休日を使って勉強すれば、十分に取得可能です。
在職中に、転職活動を始める
これは鉄則です。公務員を辞めてから動くのではなく、続けながら転職活動を始めてください。
理由は2つあります。
1つは、金銭面の安心です。公務員は雇用保険の対象外なので、辞めても失業手当が出ません。在職中なら、給料をもらいながら、じっくり次を探せます。
もう1つは、冷静な判断のためです。「早く辞めたい」という焦りの中で決めると、判断を誤りがちです。
私も在職中に転職活動をしました。おかげで焦らず、じっくり自分に合う会社を探せた。もし無収入の状態で焦っていたら、大手メーカーには出会えていなかったかもしれません。
20代という「武器」を活かす
そして、これが一番大事です。
20代であることは、それ自体が大きな武器です。
転職市場では、20代は「ポテンシャル採用」の対象になります。今のスキルや実績が足りなくても、「これから伸びる可能性」を見て採用してもらえるんです。
30代、40代になると、即戦力としてのスキルが求められ、未経験からの転職はどんどん難しくなります。だからこそ、「辞めたい」と思っている今が、動くべきタイミングなんです。
「今日が、あなたの人生で一番若い日」。これは、私が転職を決めたときに、自分に言い聞かせた言葉です。

一人で悩まず、まずは外の世界を知ることから!
公務員を辞めるかどうか、辞めてどこへ行くか。こうした大きな決断を、一人で抱え込まないでください。
私は、転職エージェントに相談したことで、前に進めました。公務員の経歴が民間でどう評価されるのか、今の自分にどんな選択肢があるのか。一人では分からない情報が手に入ります。
大事なのは、「辞める」と決めてから相談するのではなく、「辞めるか迷っている」段階で話を聞いてみることです。
覚えておいてほしいのは、「転職」にはリスクがありますが、「転職活動」にはリスクがないということ。消費されるのは、自分の時間だけです。転職活動をしてみた結果、「やっぱり公務員がいい」と思ったなら、それも自分で確かめた立派な結論です。
一番よくないのは、今の働き方しか知らないまま、モヤモヤと悩み続けること。
比較対象を持つこと。それだけで、見える世界が変わります。
まとめ|安定より、自分の成長を選んでもいい

最後に、かつての私と同じように、「公務員を辞めたいけど、動けない」20代のあなたに、伝えたいことがあります。
私は20代で公務員を辞めて、経理という手に職を選びました。安定は失いましたが、その代わりに、自分のスキルという別の安定と、成長し続ける毎日を手に入れました。
振り返れば、失ったものより、得たもののほうが、はるかに大きかった。
経理を選んだ4つの理由を、もう一度おさらいします。
- 手に職がついて、一生食べていける
- 公務員の事務作業と地続きで、経験が活きる
- 簿記という明確な入場券があり、未経験でも戦える
- 腰を据えてスキルを積める、性格に合う仕事
そして、動く前に一度だけ考えてほしいこと。
あなたの「辞めたい」は、環境の問題ですか。それとも、構造の問題ですか。構造の問題なら、転職でしか解決しません。
もしあなたが、公務員としての将来にワクワクできないなら、経理という選択肢を、一度真剣に考えてみてほしいです。
安定より、自分の成長を選んでもいいんじゃないでしょうか。
一度きりの人生です。今の場所から、一度、外の景色を見てみるのも、悪くはないのではないでしょうか。
20代のあなたには、まだいくらでも可能性があります。
あなたの人生の選択を、心から応援しています。最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
※本記事の退職者数データは、総務省「地方公務員の退職状況等調査」(一般行政職・普通退職者)にもとづきます。2013年度と2022年度の比較。なお、同調査は地方公務員を対象としたものです。



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